■コロナ不況による経営破綻
つい先程、大手フィットネスのゴールドジムと、大手衣料チェーンのJクルーが経営破綻したとのニュースが流れました。
このまま自粛が長引いて経済破壊が続けば、さらなる店舗閉鎖、人員削減、給与カットなど、確実にリストラが増えるでしょうね。一方で、学校が一斉休校なので自宅で子供の面倒も見る必要があり、ジレンマに悩まされます。
こういう状況下で、思い切って業界を変えて働き方の自由度を上げたいと考え始めた人もいますし、リモートワークがしやすいIT業界への転職を検討している人も多いそうです。
この記事では、IT業界でまさにリモートワークをしている経験から、そういった人たちの不安に応えると共に「業界内でもサービスごとに新型コロナの影響にはレベルがある」ということをわかりやすく説明します。読み終わる頃には業界についての解像度が上がってるはずです。
■IT業界がリモートワークしやすい理由
結論から言うとその通りです。これほどリモートワークしやすい業界はないと思いますし、前職のメルカリも現職のSmartNewsも、もともと新型コロナが蔓延し始める前から、一言Slackで連絡すればマネージャー判断(大抵はユルい)で在宅勤務は可能でした。
理由はシンプルで「サービスを提供するために従業員がその場にいる必要がないから」です。それでも経営者の方針によってはオフィス出勤を大切にしている企業もあったのですが、新型コロナの影響で強制的に自宅勤務に移行している企業は多いはずです。
ただ、一言で「IT業界」といっても様々な業種が混在しているので、ちょっと自分なりに整理してみました。なお、SESはエンジニアの人材派遣業、インターネット広告は”広告”業だと思うのでこの図からは省いています。

この記事では、上の図の赤い点線の領域について触れますね。
いま起きているのは「個人が外出できなくなり、その影響でネットへの流入が増えている」という現象です。では、インターネット/Webサービスを運営している企業であれば不況の影響は少ないのでしょうか?
実は、そんなことないです。実際には影響にはレベルがありいます。
■インターネット/Webサービスへのコロナの影響にはレベルがある
[影響レベル3] 需要が急減し非常事態宣言解除後も需要の停滞が濃厚
自粛でストレスが溜まっているので解除後に爆発的に需要が戻ると良いのですが、リストラが進めば旅行にお金を使おうというマインドが減退するので僕は悲観的に見ています。
- 旅行系マッチングサイト
- ホテル予約(楽天トラベル、じゃらん、一休.com)
- 民泊(airbnb)
- [英語] 5/6 : airbnbが全従業員の25%である約1900人を解雇するという報道がありました。
- 格安航空チケット(trivago、スカイチケット、トラベルコ、スカイスキャナーなど)
[影響レベル2] 需要が急減したが非常事態宣言解除後は徐々に需要が戻る
- 店舗予約系マッチングサイト
- 飲食店予約(食べログ、Hotpepperグルメ、ぐるなび)
- ただし既に食べログはフードデリバリーの検索サービスに一時的に軸足を移し、アクセスを担保しようとしている
- 美容院予約(Hotpepper Beauty )
- 飲食店予約(食べログ、Hotpepperグルメ、ぐるなび)
- 住まい探し系マッチングサイト(Suumo, Homesなど)
- 引越しや家探しは現物を見ないと判断できないので停滞中
- リモートで物件紹介など各社の工夫が見られる
- 結婚関連マッチングサイト(ゼクシィ、みんなのウエディングなど)
- 結婚式に人を大勢呼ぶこと自体躊躇してしまう
- これからは少人数、家族のみでの結婚式がトレンドになるか?
- 転職サイト/バイト探し(リクルート、ビズリーチを筆頭に競合他社多数)
- 求職者サイド
- 店舗閉鎖、給与カット、人員削減、経営破綻の影響で求職者は増加(これから増えてくるはず)
- 一方で「今動くのは危険」と判断して転職を控える求職者も
- アルバイト先を探す人は増加
- リモートワーク可能な業界、求人を探す人は増加
- 求人サイド
- 未経験での求人は激減
- 全体としても求人案件が減少
- アルバイト求人ももちろん激減
- 求職者サイド
[影響レベル1] 広告収益には影響あるがアクセスは増加
- コミュニケーションアプリ
- LINE(アプリは無料なので広告で収益化)
- SNS(facebook, instagram, twitterなど)
- ポータル/各種メディア(Yahoo、ニュースサイトなど)
- Yahoo(Z Holdings)の決算ではやはり広告↓EC↑
[影響レベル0] 無風化むしろ追い風
- コミュニケーションアプリ
- Zoom(直接課金型)
- オンライン診療系のサービス(調査中)
- SlackやMicrosoftのTeamsといったビジネスチャット
- コンテンツプラットフォーム
- 定額制動画視聴サービス(Netflix, Hulu, Amazon Prime, U-Next)
- Note(直接課金型)
- Eコマース
- BtoC(Amazon、楽天市場、Yahooショッピング、ZOZOなど)
- CtoC(メルカリ、ヤフオク、ラクマ、PayPayフリマなど)
- メルカリについてはこういう考察をしてます
- ゲーム
- ソーシャルゲーム(DeNA, Greeなど)
- フードデリバリー
- 出前館(LINEが出資したばかり)
- UberEats
- SaaS(BtoBで企業が必要とする業務を提供するサービス)
- 営業管理(SalesForce)
- 経理や勤怠労務、承認管理などの業務サービス(Freee, SmartHR, コンカー、ジョブカンなど)
- SIer/ITベンダー
- 一部の新規受託開発は予算凍結の可能性あり
- すぐに契約解除にはならない事が予想される
- ネットワーク・インフラ・クラウドサービス
- AWS、GCP、さくら、GMOクラウドなど
- トラフィックが増えてむしろ増収か
■IT業界に転職するなら業種選びは慎重に
以上、僕の観測可能な範囲で、
- 業界に勤める知人からの具体的な話
- 倒産や決算についてのニュース
- 自分の所属していた業界と未来予想
これらの情報をもとに書いてみました。IT業界といっても業種が色々あり、中には深刻な影響が出ているジャンルもあるので検討には注意してくださいね。
業界についての新しい情報がわかり次第、随時更新をしていきます。
最終更新:2020年5月6日(木)04:25