転職相談に乗っていると、キャリアや仕事、業界や企業選びについての悩みは多々あれど、やはり一番多いのは「職種」に関する相談ですね。
中でも一番悩ましいのは「ある程度キャリアがある人」が「未経験の職種」に転職したい場合です。営業からエンジニアに職種転換したい、人事からマーケティングに転職したい、などです。
今就いている職種に危機感を感じている一方、既にその道で経験も長いし、キャリア上はすっかり「その職種の人」という認識もされている。未経験の職種に転職するにも経験がないので書類で落ちるし、仮に内定しても年収は落ちるし、さて、どうするべきか。。。
そんな悩みで頭の中がグルグルしている人いませんか?
で、結論から言うと、こういう方には僕が「コの字型キャリア戦略」と呼んでいるアプローチで、自分の立ち位置を少しずつずらしていくのがおすすめです。
実際、転職エージェント業界からIT業界に移り、職種もビジネス系から開発系に大きく職種領域を転換させてきた僕のキャリアも、この枠組みで説明できます。
では、この「コの字型キャリア戦略」について簡単に図で説明します。
■ 「コの字型キャリア戦略」で職種転換
こちらを見て下さい

このアプローチは3つの段階に分かれています。
STEP.1 : 職種はほぼ同じまま、変化が速い業界に転職する
勤め先が職種を越えた異動が頻繁に起きる企業の場合、社内で徐々にスキルアップして未経験職種に転換を希望するチャンスはゼロではないです。リクルートなど一部の企業では社内公募もあり、そういう制度も活用できます。ただ、それが望めない場合は転職しかありません。
とはいえ、同業界で未経験職種に転職するのは「転職市場で値段が付かない」ので難しいはずです。
そこで、職種は同じままで、まずは「変化のスピードが速い業界」への転職を考えます。業界に潜り込むイメージです。
例)電機メーカーの人事採用担当→IT業界のHR担当に転職し、IT業界のカオスな状態をメーカー時代の仕組み化の経験で解決する
僕の場合は新卒リクルート3年でHR業界(転職エージェント業界)からIT業界に転職し、リクルートの変化の速さ以上のスピードでどんどん変わっていく業界にワクワクしたものでした。
STEP.2 : 変化の速い業界で、就きたい職業のエッセンスを自ら仕事に取り入れていく
変化の速さは重要です。
変化が速いからこそ、現場で新しい職種が生まれたり、既存の職種の役割の見直しが起きたりするんです。IT系の職種など、下記のように日々新たな役割が求人として分割されたり、新たな呼称が生まれています。
・Data Scientist
・Product Manager
・Program Manager
・Data Engineer
・Applied Machine Learning Engineer
STEP.2では、たとえ管理系やビジネス系職種でも、人事なら人事、営業なら営業だとこれまで考えていた役割定義を、自分で打ち破ってみるのがおすすめです。
たとえば、ちょっとプログラミングできるだけではエンジニアとしては駆け出しですが、逆に人事としてはすごいはずです。
なので、ただのIT業界のHRではなく、“Techに強いHR”として、自分でちょっとしたGoogle Apps Scriptを書いて集計業務を自動化してみるなどいくらでも工夫の余地があるはずなんです。
そうやって、スキルを組み合わせることで自分の希少価値を上げ、徐々に自分のポジションを上側に近づけていく努力がこのSTEP.2です。
STEP.3 理想の職業のエッセンスを兼ね備えた人材として元の業界に帰還する
その結果、IT業界で「Techに強いHR」として認知が広がり、一目置かれるようになっていったとしましょう。
エンジニアかと言われるとそこまでは言えないけど、人事業務に関わる技術領域ならかなり詳しくなっているかもしれません。
この状態で、STEP.3として元の業界に凱旋帰国するのもアリだとは思います。スキルの掛け合わせで希少性が出て、市場価値も以前より上がってるでしょう。
ただ。。。どうでしょうか。
その時には、貴方がかつて望んでいた「エンジニアになりたいな」「マーケティングの職業に就きたいな」という既存の職種定義に自分を当てはめようとは、もはや思わないかもしれませんね。
なぜなら、すでに自分なりの立ち位置を確立した人は、他の誰でもない、貴方のその道を行くからです。
■ 人が「職種」と呼ぶのはただの概念
転職エージェント業界からIT業界に移り、自ら7回転職する中で気がついたのは
「職種とは概念であり、虚構である」
ということでした。
極論、皆さんが思ってる職種とは、コンビニに売っている既製品のおにぎりみたいなものだと思って下さい。誰かがいつかの時点で発明したジャンルでありレシピです。シャケマヨのおにぎりだって、ある時、誰かが考えたから棚に並んでるんです。
そうではなく、自分の手で、自分のおにぎりを握る。つまり、新たな役割をデザインしたり、職種を再定義してみるような働き方を僕は意識してきましたし、皆さんにもこの面白さを、このブログで伝えていきたいです。
最後にこれに絡めたツイートがあったので貼っておきますね。
ではでは、また。