「リストラに殺されない生き方(1) 再就職支援事業で目にしたもの」の続きです。
前回のエピソードは、僕が社会人になる第一歩目でいきなり目の当たりにした「会社から”必要ない”と言われた人たち」のお話でした。
期待を胸に「さあ、これから仕事頑張るぞ!」と目をキラキラさせていた若い頃の自分には正直かなりショックでしたし、エグかったなと今だに思います。
ただ、今振り返ると、最初に入社した会社が「転職市場を広く俯瞰できる業種」でラッキーだったのかもしれません。
だって、考えてもみてください。
会社のオフィスで専用データベースにアクセスすれば、日本中のビジネスパーソンの履歴書と、募集中の求人案件をいくらでも見ることができたんです。
土日も霞が関ビルのオフィスに行って見ていたくらいなので、貴重な情報の宝庫にアクセスできること自体に、知的好奇心を刺激されていたのかもしれません。
■ 自分も労働市場における一つの商品であるという気づき
前回のブログにも書いた通り、僕は再就職支援事業部のアルバイトで、リストラされようとしている中高年の履歴書・職務経歴書を目の当たりにしてショックを受けました。そして、
・彼らに何が欠けていたのか?
・その事態は回避可能だったのか?
これらの問いに対して当時の僕が出したのは、
・彼らに欠けていたのは「自分は果たして会社の外でも欲しがられる人材か」という市場観なのではないか?
・もしも彼らが「自分も労働市場における一つの”商品”である」という感覚を持てていたら、あのような事態は回避できたのではないか?
このような仮説でした。
つまり、自分を一つの商品として見立てて、その商品の価値を上げるためにどうすれば良いのかを考えるべきだと気づいたんですね。
別の言い方をすると、企業内における内部的需要だけでなく、企業の外に広がる人材需要にも目を向け始めたとも言えます。
僕はこれを、わかりやすく「マーケット感覚」と呼びたいと思います。
当時、自分で上手く言語化できずモヤモヤしていましたが、ちきりんさんが「マーケット感覚を身につけよう」という書籍で鮮やかに説明してくれています。
次回は、この「転職やキャリアにおけるマーケット感覚」について、自分なりに考えてきたことを説明します。
(続く)