リストラに殺されない生き方(1) 再就職支援事業で目にしたもの
リストラに殺されない生き方(2) 自らを商品として見立てよ
リストラに殺されない生き方(3) 業界と個人の成長をかけ算する

こちらの続きです。今日が最終話です。

前回までの話を要点だけ再度まとめると

・会社に言われるがままリストラ対象になってしまう人は「自分自身を転職市場における”商品”と捉えて動くこと」ができていない
・自分を商品として見立てて市場価値を上げるには「マーケット感覚」が重要
・マーケットとは取引の場であり、取引を支配するのは「需要と供給」の関係
需要が増え続けるのに、供給が追いつかないポジションに自分を移動させていくのが基本戦略
・需給予測から想定される業界の成長に、個人の成長をかけ算することで個人の市場価値を高めることができる
・市場価値が高く、引く手あまたの人は「いつリストラされても全然OK」という精神状態に到達するので、リストラが怖くなくなる

こんな感じでした。

そして、この一連のシリーズの最後に、リストラに関して得た大切な気付きを皆さんとシェアしたいと思います。

結論から言うと、市場価値を継続的に高められる人は、必要な局面で「自分で自分をリストラできる人」です。

どういうことか説明しますね。

■ 急成長には自分より優秀な人材が必要

新卒で入社したリクルートと前職のメルカリで一致している企業カルチャーとして、

「自分より優秀な人材を採用する」

という価値観があります。

特に、急成長企業の経営陣やマネージャーであればこれが最も大事な仕事と言っても過言ではなく、事業成長の速度が速ければ速いほど、自分より優秀な人材をどんどん引っ張ってこれないと事業の成長スピードに組織や仕組みが追いついて来ません。

リクルートでは採用においてもこの考え方が徹底していて、新卒採用でも「自分よりも優秀な学生を採用するのがおまえの仕事だ」と先輩から言われたのを、今でも鮮明に覚えています。

これ自体は僕は考え方として大好きですし、共感できる価値観です。

ただし、意外に語られないのが、この後の話です。

素朴に疑問なのは、自分より優秀な人材を採用することに成功し続けたら、今のその人のポジションはどうなるんでしょうか?

会社によってはその人を更に上の役職に昇進させるかもしれませんが、それが最善の人事ではない場合もありますし、本人もそれを望んでいない場合もあり、難しいところです。

そして、そうでない場合は、自分より優秀な人に期待が集まる一方、その採用を成功させたはずの自分の身の振り方について悩んでしまったりしないでしょうか?そこまでではないにせよ、その人の社内での存在意義は、少しずつ薄くなくなっていくのが自然だと思います。

こういう無意識の恐怖心が人間にはあって、であるからこそ、多くの従業員にとって「自分より優秀な人を採用」するのは非常に難しいのだと思うんです。

では、この無意識の恐怖心を、僕らはどう克服していけば良いのでしょうか?

■ 自分より優秀な人に喜んで席を譲るために必要なこと

これが急成長スタートアップの共同創業者や早期に入社して株式を保有している人の場合は、あまり問題にはなりません。

そういう人はどちらかという株主であり投資家なので、自分の役職やポジションにこだわるより事業成長が経済的恩恵をもたらしてくれると割り切れるからです。

問題になるのは、株式を保有していない通常の従業員の場合です。

ここで僕が言ってる「自分で自分をリストラする」という考え方が重要になってきます。自分よりも優秀な人が採用できたら、その人に今のポジションを喜んで譲った方が、自分にとっても会社にとってもハッピーなはずなので、躊躇したりしがみついたりするのはやめましょう。

では、自分で自分をリストラするとして、次に自分は何をしたら良いのでしょうか?

個人的には、3つの選択肢があると考えています。

  1. 別の部署への移動を申し出たり、新規部門を立ち上げる
  2. 現場に戻してもらう
  3. 転職する

1. は一番素直なポジション移動で、心理的な負荷も低いです。組織を見回して、まだ手がついていない事業や組織の課題を、自分の専門性を活かしながら解決に向かわせることが出来るなら、社内転職のような形で異動を申し出るのは主体的なキャリアプランニングだと思います。

一方で2. は、もともと現場志向の方向けです。役職へのこだわりがなかったり、顧客志向やものづくり志向が非常に強い場合、現場に戻してもらうのは選択肢としてありです。ただし、給与が落ちてしまうようだと話は別なので、会社としては人事評価制度設計の上手い下手の見せ所になってきます。

ちなみにメルカリでは個人のグレード(人材としての影響力)とマネジメント要素は原則として別になっていたので、グレードは同じままマネジメントと現場を交互に行き来するキャリアパスを描いている人は少なくなかったはずです。

逆に、ポジションに対してグレードが付いており、期待値で人がアサインされるような人事制度の場合、こういった異動は個人としてリスキーだと感じてしまうかもしれません。

そして、3. です。この段階である程度の「やりきった感」があるならば、別の企業に成長の機会を見出すのも良いと思います。0→1、1→10、10→100、100→1000など、組織成長のフェーズのどこで自分が一番イキイキ出来るかを理解できていれば、NEXTユニコーンと言われる次代の企業の成長に貢献するという考え方もあるからです。

■ 自分で自分をリストラすることに慣れよう

さて、ということで「リストラに殺されない生き方」シリーズは以上です。いかがだったでしょうか?

自分で自分をリストラすることに躊躇しない人間こそが、結果的にリストラから殺されないで済むというのは何とも皮肉な話ですが、僕はこれは真実だと思っています。

人は所詮、弱い生き物です。

こういうマインドを持っていないと、一度得たポジションにしがみついたり、次のチャンスを逃していることにも気づかなかったりします。そんなの悲しすぎますからね。

ということで、今日は以上です。

今後も一緒に戦略的に市場価値を高めながら、時に自分で自分の役割を躊躇なく見直していきましょう。

読んで頂きありがとうございました。