この「カルビーが単身赴任を廃止する方向」というツイートに、7,000リツイート30,000いいねという大きな反響がありました。
カルビーが単身赴任をやめる方向。リモートワーク勤務を原則として通勤手当を廃止し、通勤した日は実費支給。在宅での労働環境を整えるためのリモートワーク手当を一時金として支給。一部のインターネット企業が率先して導入した新しい働き方を、歴史の長い大手食品メーカーも採用する時代なんですね。
— たいろー / メルカリ→スマニュー🦄 ユニコーン転職日記 (@tairo) June 25, 2020
そこで、今日はこのツイートに絡めつつ、語りきれなかった僕の考えを補足したいと思います。
IT業界への転職に興味があるビジネスパーソンの方やエンジニアの方がこの記事を読めば「リモートワーク/テレワーク/在宅勤務が転職市場に与える影響」がわかるはずです。
また、転職希望者だけでなく、企業経営者や人事責任者の方にも読んで頂き、今後の経営戦略や採用戦略の参考にして頂けると嬉しいです。
■ 原則リモートワーク可能かが「良い会社」の踏み絵になる
結論、「これからの時代の働き方はリモートワークが前提になっていく」のは間違いないと思います。
※もちろん、店舗での接客や物理的にその場にいないと仕事が成立しない職種の場合は別です
ただ、これを読んでいる人の中には「本当にそうかな?」と懐疑的な人もいると思います。「そうは言っても日本人は真面目だし、何十年も続いてきた通勤スタイルや、会社が良しとしてきた慣習は、簡単に変わらないのでは?」と。
ですよね。3月〜4月あたりは、僕もそう思っていたのでわかります。
ただ、緊急事態宣言解除後の日本の情勢や海外での動向を見ていたら、徐々に考え方が変わってきました。
新型コロナの影響が落ち着けば、毎日オフィス通勤が当たり前の働き方に完全に戻るのか?日本のサラリーマンの象徴だった「満員電車に寿司詰めにされて通勤する日常風景」に逆戻りするのか?
今となっては、それはないなと思います。
その理由を説明しますね。
■ リモートによる働き方の変化は「不可逆的な変化」
ズバリ言うと、今回のリモートワークへの移行は「不可逆的な変化」であり、事態が落ち着けば元に戻っていく「可逆的な変化」とは性質が違うんです。
世の中の変化には2つの性質があって、氷と水のような関係を「可逆的変化」と言います。氷は溶かせば水になるし、水を冷却すれば氷に戻る関係です。

一方で、紙は燃やすと灰になりますが、灰はもう元の紙には戻りません。こういう変化は「不可逆的変化」です。
そして次に、コロナに端を発したリモートワークが「不可逆的変化」だと言い切れる根拠について説明しますね。
■ 従業員が快適で、経営的に安上がりで、採用力にもなるリモートワーク
リモートワークが不可逆的変化である理由は3つあります。シンプルです。
1つ目は、従業員にとって「原則リモートワークでOK」というベネフィットは、一度でも体験したら戻れないほどの利便性や魅力を持っているということです。
体験すればわかりますが「業績貢献さえ出来ていれば、物理的にどこにいても良い」というのはとてつもない福利厚生であり、仕事ができる人ほど、成果をリモートでつくり出してしまいます。
そして、そういう成果を出せる優秀な人材は、働く場所についてのこの特権を手放すはずがないんです。
ただし、これだけだったらリモートワークは世の中には広まらないですよね。
しかし、これが2つ目なのですが、経営者側、つまり給料を支払う側の人間も「この方が安上がりだな」と気づき始めているんですよね。
ちょっと想像すればわかるんですが
・従業員が増えるたびにオフィスを増床する必要がない
・従業員が増えるたびに交通費を支給する必要がない
これって、相当な経費削減になるんです。しかもこれって儲かっても儲からなくても支払う必要がある固定費であり、それを合法的に削減できる、またとないチャンスなんです。
100歩譲って、オフィスに通勤するほど業績が上がってるなら話は別ですよ。ただ、どうですか?そう言い切れますか?答えに窮する人は多いと思うんですよね。
ですから、なおさら、固定費を抑制できることの利点は大きいんです。
そして、3つ目の理由は「転職市場における人材獲得競争の淘汰圧」です。
これからは、一部の業種を除き、原則リモートワークが可能な企業が職場としての人気を得ていくでしょう。
逆に、原則リモートワークが可能な業種にも関わらずそれができない会社はそういう経営方針だということが伝わり、求職者の選択肢に入りにくくなるでしょう。
なぜなら、働き方を原則リモートワークにするかどうかは究極的には「決断の問題」だからです。
生産性が上がるかどうか次第でリモート導入の判断をしているようでは、経営的意思決定としてダサいんです。
決断が先、最適化は後。
この原則に則ってリモート前提でビジネスを組み立て直す決断ができないと、人材市場でまったく勝てない、独りよがりな会社になってしまうでしょうね。
■ 人間は「知ってしまったら」戻れない生き物
まとめましょう。
これから「原則リモートワーク」の会社は増えていき、それが当然という流れになっていくでしょう。
理由は3つ。
- 求職者にとって抗えないほどの魅力的な福利厚生だから
- 経営者にとっては固定費削減ができる大きな機会だから
- 転職市場でも今後は「原則リモート可」が競争力になるから
これらの理由から、この日本においても一部の業種を除いて「原則リモートワーク」は当然であり、働き方のデファクトスタンダードになっていくでしょう。
人間の本能を侮ってはダメです。
人間は、一度その便利さや美味しさを知ってしまったり、快適であるとわかってしまったことから逃れることはできないんです。
facebookだってGoogleだって、LINEだってメルカリだって、その便利さを知ってしまったらもう手放せないのと同じです。
そして願わくば、あらゆる企業が、この「世界が自然と向かっていく方向性」に変に抗うことなく、新たな働き方に適応していくことを願っています。
ではでは。また。