新型コロナウイルスの影響で非常事態宣言が出されてから約一ヶ月が経過しました。
旅行・航空・観光・飲食業など「実際に人が動いて初めて売上が立つ」業界をはじめとして、様々な業種が深刻な売上減少に悩まされています。
そんな中、不況・不景気に強い業界や企業、職種への転職を考え始める転職希望者も出てきており、このブログでも既に「IT業界でもコロナに強いエリア」と「コロナでむしろ採用強化中のスタートアップ」を紹介したのでした。
【随時更新】コロナに強いIT業界に転職したいけど実際どうなの?
コロナ禍でも積極採用中のスタートアップ企業リストがすごい
でも、実は上記で触れていない論点があって、それは「同じ業界でも、企業によって不況への耐久性は異なる」という点です。
そこで今日は、僕が新卒でリクルートに就職した時の気づきをわかりやすく説明することで、「不況に強い会社はどういう事業構成なのか」についてのヒントを提供したいと思います。
■ 『シーソーの関係』を意識した事業ポートフォリオは不況に強い
最初に結論から言うと、不況に強い会社は「シーソーの関係」となる2つ以上のビジネスを事業ポートフォリオに組み込んでいます。
ここで言う『シーソーの関係』を意識した経営とは何かというと、
「好景気で伸びやすい事業」と「不景気で伸びやすい事業」をどちらも展開する
ということです。次に具体例を出しますね。
■ 転職エージェント事業の例
例えば、僕が新卒でリクルートの子会社に就職した当時は就職氷河期と言われていましたが、僕が当時内定したのは「転職エージェント事業」でした。

転職エージェント事業は「転職を支援するビジネス」なので、好景気の良い影響を思いっきり強く受けます。
好景気の影響でお客さんが増え、企業は売上も利益も増えるので、採用ニーズも拡大します。転職市場は売り手市場になり、求職者一人あたりの求人数は増加。
求人倍率が高くなり、転職しやすくなります。人材ニーズが高騰するので、転職エージェントは、採用の成功報酬を高く頂けるようになります。
ただ、実はこの「転職エージェント事業」と双璧を成すように「再就職支援事業」というビジネスが営まれていたんですね。
■ 「転職エージェント事業」と「再就職支援事業」はシーソーの関係
社会に出てからずっと好景気だった世代にはイメージしにくいと思うのですが、就職氷河期の当時は日本を代表するような大企業が常に人員削減策を打ち出しては、リストラ実務を再就職支援事業者に委託するような時代だったんです。
で、ここがすごい所なのですが、「転職エージェント事業」と「再就職支援事業」はシーソーの関係だったんです。

当時の経営陣がどこまで意識していたかはわかりませんが、僕から見ていると結果的に「好景気の時は好景気の影響を最大限に活用しながら、一転して不景気に陥ったら、不景気の良い影響を受けられる」ような事業ポートフォリオになっていたんです。
内定者バイトでこの構造に気づき、心底ビックリした記憶があります。
■ 他の業界にも当てはまる「シーソーの関係」
この構造は、HR領域にとどまらず、あらゆる企業の事業ポートフォリオにも当てはめることができます。
IT業界のインターネットサービス大手だとこんな感じです。
- Yahoo :
- 広告事業(↓)
- Eコマース事業(↑)
- 楽天:
- トラベル事業(↓)
- Eコマース事業(↑)
- LINE:
- 広告事業(↓)
- デリバリー事業(↑)※LINEが出前館に出資
- LINEのDAU・MAU(↑)
一方で、Airbnbに勤めている知人と先日連絡を取ったのですが「好景気に一点賭けだったリスクが出てしまった」と言っていました。
- Airbnb:CtoC 宿泊先予約(↓) のみ
ということで今日は以上です。
皆さんが働いている業界や企業で、もし複数の事業が展開されていたらこの考え方を当てはめてみてください。
今まで見えなかったものが見えてくると思います。ではでは。